・アン・ヘリング先生の企画展【遊ぶ浮世絵 おもちゃ絵展 ー アン・ヘリング コレクション ー】(2020.06.26)

 以前にこのお知らせでもご紹介した、アン・ヘリング先生。戸田デザイン研究室の作品の英語監修を務めてくださるヘリング先生は法政大学名誉教授であり、児童文化史研究家でもいらっしゃいます。
今回、先生が長年に渡り研究を重ねてこられた「おもちゃ絵」のコレクションが、静岡市清水区の清水港湾博物館(フェルケール博物館)の企画展【遊ぶ浮世絵 おもちゃ絵展 ーアン・ヘリング コレクションー】にて展示されています。

「おもちゃ絵」とは、江戸・明治期に実用品として大量に出回った錦絵のことで 女性、子どもたちのために作られたものと言われています。その多くは切ったり貼ったり組み立てたりして楽しむことができ、現代の絵本や図鑑やゲーム、ペーパークラフトの原型とも言える作品が多くあります。

例えば豆本やもの尽くしなど、図鑑や教材としての役割も果たすもの。双六や現代のボードーゲームのように遊ぶもの。パーツを切って人気の歌舞伎の舞台を再現する、組上げ燈籠。着物や香箱も切り取りパーツに加え、現在の着せ替えのように楽しむもの。当時の一流の絵師たちが、自分たちの知恵と商才を注ぎ込んだ世界は 本当に粋で華やか!大胆な色合わせやユーモアに溢れた構成は、思わず「ニクい!」と唸ってしまうものばかりです。


猫がたくさん重なって 化け猫に〜!
『五拾三次之内猫之怪』1847年 一鵬斎芳藤

基本は切って組み立てるものが殆どですから、今回の展示のように1つのパーツも欠けることなく残っている物は本当に貴重…。これはヘリング先生が長い時間をかけて集められたものです。「おもちゃ絵」からは江戸を中心とした当時の風俗や時代の移り変わりも感じることができ、日本の文化史・風俗史としてもとても意味のあるもの。こうして現代の私たちに日本の文化を伝えてくださる先生の知と情熱に、もっと光を当てていただきたい!と私たちも常々思っていました。今回こうして大きく取り上げてくださったフェルケール博物館の皆さまに、深く御礼申し上げます。

そして先生と共にこの展示に華を添えてくださったのが、造形作家のトニー・コールさん。以前から先生と親交があり 見事な組上げ燈籠を作っていらっしゃるのですが、今回の展示にあわせ原寸の倍のサイズで見事な作品を作り上げられました!(近くで写真を撮ると、段々ホンモノの舞台に見えてくるくらいスゴイ…)


切る技術だけでなく、配置の妙も素晴らしい!
『新版関之戸組上三枚続き』(2倍復元)

ヘリング先生はいつもこう仰います。「貴方が日本人で私がアメリカ人なんて関係ないのです。自分の国のことを知らないことは沢山あります。初めて知ったおもちゃ絵の世界を、面白い!と思ってくださればそれが一番良いのです。」と。美術・芸術と構えずに、みなさんもぜひ「おもちゃ絵」の豊かで楽しい世界に飛び込んでみてください!


左:アン・ヘリング先生 右:弊社代表 戸田靖
戸田は先生の教え子です!

☆今回の企画展は7月5日まで。もしお近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。水の溢れる美しいエントランスと落ち着いた館内のフェルケール博物館。清水港の歴史を伝える展示もあり、ゆったりと過ごすことができます。

>企画展についてはコチラから→ https://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/verkehr/exhibition/index.html
>ヘリング先生のご著書『おもちゃ絵づくし』についてはコチラから→ http://toda-design.blogspot.com/2019/08/2019819.html






  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア