戸田デザイン研究室の今度の新刊は、なんと国境を超えたコラボレーション作品!
イラストレーターにベルギーのアーティスト、イネ・レイラントさんを迎え、日本の季節の食べ物を紹介する絵本を作りました。
その名も、ベルギーのデザイナー・イネさんがみた にほんの『きせつのたべもの』4冊セット。
完成は来月11月10日。全国の書店、百貨店などでも、順次販売されます。こちらの弊社公式Webサイトでは、11月10日から販売スタートです!皆さん、ご期待ください!
■ベルギーのデザイナー・イネさんがみた にほんの『きせつのたべもの』4冊セット
・作/イラスト:Inge Rylant イネ・レイラント
・編集デザイン:戸田やすし
・言語監修:デビッド・ヒース
・サイズ:21×21×2cm(ギフトボックス)、10×10cm(絵本)
・ページ数:4冊、各14ページ
・販売価格:2,860円(税込)
・ISBN:978-4-924710-90-0
■どんな内容なの?
この絵本の主役は、日本の四季の旬の食べ物。春・夏・秋・冬の4冊がセットになっています。
こうした日本の旬を伝える絵本は、他にも多数出版されています。
では、この絵本にしかない魅力とはなんでしょう。
それは【ベルギーのイラストレーター・イネさんの視点】で描かれていることです。
春は柏餅にホタルイカ。夏はミョウガに鰻。
日本文化を愛し、和菓子にも大いなる美を見出すイネさんだけあって、絵本にしては渋めのセレクトも含まれます。(これがまた面白い!)
さらに食べ物を描くアングルやちょっとした装飾の描き方なども異なる文化を持つクリエイター独特の視座が感じられ、見慣れたはずの日本の食べ物に新鮮な美しさや面白みを感じることができるのです。
文字も日本語、英語、ローマ字、漢字の4つが掲載されているので、対象年齢も3歳から8歳くらいと幅広く、日本に観光にこられた海外の皆さんにも楽しんでいただける内容になりました。
そしてこの可愛いボックス!4つの食べ物の窓からは、本体4冊の表紙がこんにちは♪
贈り物にもぴったりなデザインに仕上げました。
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春の息吹満載。 |
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暑い夏はこれだね! |
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秋の豊かさよ…。 |
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クールな干し柿、参上。 |
■イネ・レイラントさんについて
イネ・レイラントさん(1987-)は、ベルギーの芸術都市・アントワープ出身のイラストレーター兼ヴィジュアルアーティストです。
文化的にも豊かな地で感性を育んだイネさんは、やがて日本文化に強い関心を寄せるようになり、ヨーロッパと日本を行き来しながら活動を行なうようになりました。
イネさんのデザインの特徴は、大胆な色使いと装飾を排したシンプルなイラスト。この独自の表現スタイルを長年にわたり築いてきました。
クリーンなデジタル描画による抽象と具象を合わせ持つ作品が特徴で、色や構図といったイメージの基本となる要素に焦点が当てられています。
本国・ベルギーでは老舗菓子メーカーやプロダクトブランドとのコラボレーション、雑誌や書籍へのイラストレーションの提供など幅広い仕事を手がけています。日本でもテキスタイルブランドと仕事をしたり、ボーダレスな取り組みを継続。自主制作・発表も精力的に行う、まさに新進気鋭のアーティストです。
★イネさんのインタビューもぜひ、ご覧ください。
■コラボレーションの経緯
きっかけは、ある日イネさんから届いた1通のメール。日本の書店で折りに触れ弊社の作品を見てくださり、ぜひ一度会いたいという内容でした。
イネさんが今まで手がけてきた作品から、卓越した色彩感覚を持っていること、シンプルに削ぎ落として対象を表現する確かな経験と実力をお持ちであることは一目でわかりました。
さらにメールの文章からは、とても誠実な人柄が伝わってきて、この出会いには大きな可能性があると確信を持ったのです。
実際にお会いしてお話しをすると、お互いに多くの共通点を持っていることに驚きました。
美しさの捉え方、子どもに向けたプロダクトに対するアプローチ、曖昧さを避けて細部まで妥協なく作る職人的な姿勢。初めて会った時点で、様々な点でビジョンを共有できたのです。
さらに「私たちと仕事をすると、細部までとことんやるから時間がかかるけど…」とお伝えすると、「私はそういう仕事がしたい」という答えが返ってきました。
謙虚でありながら、想像以上に強い信念と向学心を持ったアーティスト・イネさん。
これはもう、何も迷うことはありません。共に最高のモノを作るのみです。
それから約2年の歳月をかけ、私たちは共にこの絵本制作に熱意を注ぎ、互いへの尊敬を深めながら完成へと至りました。
■絵本に込めたメッセージ
日本の食べ物について楽しく知る、言葉と一緒に学ぶ、美しい色の感覚に触れる…。
この絵本は、色々な視点で楽しむことができます。
昨今の気候変動で失われていく日本の旬の大切さに、改めて気づかされることもあるはずです。
これはもう、もはや大人・子どもという概念を超えるものです。
そして何より、日本の食文化に向けられたイネさんの楽しく新鮮で敬意に満ちた眼差し!
これは子どもたちにとって、大切なものになると思います。
残念なことに、ここ数年、日本でも排外主義という過激な言葉を耳にするようになりました。
自分たちとは異なる文化を持つ人が示す日本の面白さ、考えるべき点に触れる。互いに敬意を持ち寄り、互いの文化を知る。
こうした機会を失い、狭い視野でしか物事を測らない社会が行き着く先がどんなものか…。
現在の争いの絶えない世界が、その答えを雄弁に物語っています。
幼い時に触れた感覚は、時を経て人の素地を作る大切な要素になると戸田デザインは信じてきました。
イネさんが照らしてくれた日本の食文化を通じて、子どもたち、そして大人の方々にも何かを感じていただきたい。
そしてそれが、この先の未来を照らす一筋の希望になればと願い、大切に作り上げました。