・アン・ヘリング先生の「おもちゃ絵」コレクション たばこと塩の博物館で展示。(2023.11.17)

『英和じてん絵本』『和英じてん絵本』をはじめ、弊社作品の英語監修を務めてくださった法政大学名誉教授、児童文化史研究家のアン・ヘリング先生(1938-2021)。

ヘリング先生は長年にわたり木版出版を中心に日本・英語圏・独語圏の児童図書史の研究を続けられましたが、中でも力を入れて研究されていたのが「おもちゃ絵」の研究。

弊社コラムなどでも何度かご紹介してきましたが、来月12月2日から年明け1月28日にかけて、ヘリング先生の「おもちゃ絵」コレクションが、たばこと塩の博物館(東京都 墨田区)の特別展【見て楽し 遊んで楽し 江戸のおもちゃ絵 Part2】で展示されます。


「おもちゃ絵」とは江戸・明治期に実用品としてたくさん出回った錦絵のことをさします。(多くの方が浮世絵とも呼んでいると思いますが、錦絵とは多色刷りの木版画を指します。)
福笑いやスゴロク、着せ替え人形。さらには今で言うペーパークラフトのように切って貼って組み上げるものなど、子どもはもちろん、大人も楽しめる様々な種類が存在します。

当時の日本人の暮らし・営み・文化が反映された「おもちゃ絵」は、今でこそ少しずつ光が当たるようになりましたが、大衆向けの消耗品と言う見られ方をされることも多かったとか。
さらに基本的に切って、貼って、使うものなので、無傷で残っているものを見つけるのは極めて困難。資料を発掘するのも大変なのです。しかし、ヘリング先生は「おもちゃ絵」の魅力を深く理解され、溢れる情熱で奇跡の1枚の蒐集を続けられました。

そんな「おもちゃ絵」とヘリング先生のコレクションにかねてから注目をされていたのが、たばこと塩の博物館。
2020年には【見て楽し 遊んで楽し 江戸のおもちゃ絵 Part1】を開催。ヘリング先生とのご縁も深く、このPart2の出品に向けて事前調査を重ねてこられたそうです。

残念ながら先生は
2021年3月に逝去されましたが、その後関係者の方々と相談の上、先生の収集品のうち、おもちゃ絵や江戸から戦前までの児童文学関係資料を一時的に預かり、整理を兼ねた展示という形で今回の企画を実現されました。


こうして満を持して開催される今回の展示。なんと、豪華 二部構成です。
12月2日から27日の第一部では、ヘリング先生のコレクションを交えながら、天神様、相撲、忠臣蔵などの華やかなおもちゃ絵が展示されます。
年が明けて1月4日から28日の第二部は、アン・ヘリングコレクション展。ヘリング先生コレクションのみで構成され、先生が特に思い入れの深かった桃太郎関係資料や大好きな猫の絵、組上げ灯籠などが勢揃い!いち早く「おもちゃ絵」の魅力に着目されてきた先生についても紹介されるそうです。


さまざまな文化の素晴らしさを知ることは、とても大切です。そしてその魅力を存分に味うには、良いきっかけ、良い視点が大きな手助けをしてくれます。

ぜひ、今回の展示をご覧になり、ヘリング先生が生涯をかけた研究を通じて「おもちゃ絵」と日本文化の面白さ。
そして先生の溢れる情熱と探究心を感じてください。


■「見て楽し 遊んで楽し 江戸のおもちゃ絵 Part2」
@たばこと塩の博物館
第一部
2023年12月2日(土) ▶︎ 12月27日(水)

第二部(
アン・ヘリングコレクション展)
2024年1月4日(木)   ▶︎ 1月28日(日)
https://www.tabashio.jp/info/access/index.html

■ヘリング先生についてのコラムなどはこちら
・「知」の冒険家 アン・ヘリング先生に捧ぐ。
https://toda-design-column.blogspot.com/2021/10/blog-post.html

・アン・ヘリング先生の『おもちゃ絵づくし』




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